


「ロックフォードの事件メモ」 The Rockford Files は、1974年にNBCから6シーズン放映された。日本では1975年にテレビ朝日の「SEIKOホームシアターS」枠で「ダンディ2・華麗な冒険」の後番組として登場し「華麗な探偵ピート&マック」「Dr.刑事クインシー」と交互に放映された。第1シーズンは「ロックフォード氏の事件メモ」の題名で放映され、第2シーズン以降と再放送では「ロックフォードの事件メモ」となっている。第1話として放映された[死体と結婚した女] The Rockford Files がパイロット版TVムービーにあたり「バイオニック・ジェミー」以前のリンゼー・ワグナーがゲスト出演している。制作はユニバーサルTVでクリエイターは「西部二人組」のロイ・ハギンズと「特攻野郎Aチーム」のスティーブン・J・キャネルの共同で、制作責任者はメタ・ローゼンバーグ。マイク・ポストによるテーマ曲はビルボードにランキングされる大ヒットとなった。バイオレンス描写が多いポリスアクションの最盛期であったが、この番組はユーモラスな登場人物と凝ったストーリー、それとカーアクションが特徴である。オープニングの留守番電話からしてギャグが炸裂していました。主人公ジム・ロックフォードは、映画『夕陽に立つ保安官』『地平線から来た男』でのすっとぼけたヒーロー、『大脱走』で演じた何でも調達する便利屋ヘンドリー、TV「マーベリック」の頭がきれて口が達者なギャンブラーといった過去のジェームズ・ガーナー出演作から最良のエッセンスを抽出したようなキャラクターである。ロックフォードは無実の罪で5年間サンクエンティン刑務所に入っていた過去がある。罪が晴れて出所した彼は、囚人たちと生活する中で体得した犯罪心理学や詐欺のテクニックなどを活用した探偵事務所を開業する。お金がないので事務所はロサンゼルスのマリブビーチにある自宅兼用のトレーラーハウスである。探偵料は1日200ドル+必要経費。第1シーズンのオープニングナレーションには私立探偵心得五カ条が登場しました。
私立探偵心得五カ条:
一つ[探偵は容姿端麗・眉目秀麗であってはならない]
二つ[探偵はセックスアピールがなくてはならない]
三つ[探偵はマイホームを持ってはならない]
四つ[探偵はマラソンが強くなくてはならない]
五つ[探偵は銀行預金があってはならない]

c/o Rockford Private Detective Agency (555-2368 [or 2867 or 9000])
The Paradise Cove Trailer Colony 2354 Pacific Coast Highway Los Angeles, CA


自身の経験から警察が手を引いた事件を主にあつかうが、警察とは始終もめごとが起きる。彼は身分を偽装しての聞き込みが得意であり、名刺印刷機で作った数種類の名刺を使い分ける。一番多い偽名がジム・タガートである。カタイ会社には役所の臨時監査とか調査とかいって潜入する。口八丁といえば誘拐犯との交渉は爆笑であった。ロックフォードいわく"人は権力に弱い" 映画『グラン・プリ』に出演したカーレースが趣味のガーナーならではのカーアクションの数々。軽快なテンポのBGMが流れ、ロサンゼルスのダウンタウンをポンティアック・ファイアーバードが駆け抜ける。表通りから路地裏へゴミ缶や看板を蹴散らすカーチェイスも話題になりました。尾行を巻くテクニックもありました。"車を盗まれた"と尾行車のナンバーを警察に通報したり(当然パトカーに停められます)、必死で逃げ込んだと見せかけて誘導した先はポリスアカデミーとか...頭脳派プレイが笑えました。[マルタの鷹]以来、ハードボイルドの探偵はぶん殴られる事が多いですがロックフォードもよく殴られる探偵である。でも痛いのはいやだし銃は怖いから探偵のプライドもどこへやらである。






石上三登志によればロックフォード親子は"ポパイの親子"がベースではないかとか。ジョゼフは元トラック運転手で頑固だが探偵業に協力してくれるやさしい親父である。弁護士のベスは頭がきれておまけに美人でジムも彼女には弱い。(ちょっとホの字です)刑務所時代のダチ公であるエンジェルはいつもロックフォードを振りまわし"災い"しか持ってこない詐欺師。(なぜか憎めない)マリブ警察の連中はロックフォードを嫌っており天敵と云うべき存在がチャップマン警部補である。唯一の味方であるベッカー刑事から情報収集のための接待(自販機のコーヒーなど)をしていると、目ざとく見つけて圧力をかけてくる。ところが、このチャップマン警部補が尊敬している探偵がいるのである。探偵の名前はランス・ホワイト、ハンサムでダンディで仕事ができて誰にも好かれるナイスガイである。ホワイトはチャップマン警部補の命の恩人とかで事件現場に通すは、捜査書類は見せるは、ロックフォードとは180度違う対応ぶりなのである。ロックフォードとしてはカチンとくるらしく、こいつが大嫌いでした。演じるのは「私立探偵マグナム」以前のトム・セレック、というより「私立探偵マグナム」のオリジナルにあたるのかもしれません。探偵と云えばもうひとり、青年の探偵リッチー・ブロッケルマンがいます。彼は「ロックフォードの事件メモ」のエピソードから日本では未放映のTVシリーズ「Richie Brockelman, Private Eye 」にスピンオフされました。二人の探偵は数回しか登場しませんでしたが印象深いキャラでした。シリーズの最後の方には元弁護士のジョン・クーパーがロックフォードの法律アドバイザー的な役回りで登場しました。ジェームズ・ガーナーは映画・TVに代表作を持つスターであり、本作は彼のチェロキープロとユニバーサルTVの共同制作である。ベス役のグレッチェン・コーベットは新進女優でTVムービー「キラー・ビー」などの出演作があります。エンジェル役のスチュアート・マーゴリンは「保安官ニコルス」に続いての共演で彼も俳優と監督の両方をするタイプで本作にも演出エピソードがある。「保安官ニコルス」で聴き慣れていた羽佐間道夫氏から名古屋章氏への変更はファンの間でも賛否両論であったが、あの軽妙な味は名古屋章氏ならではであろう。



番組終了後の1994年から断続的に8本のリユニオン版の新作TVムービーが制作され一部がWOWOWとスターチャンネルから放映されています。
新作TVムービーリスト:
1.The Rockford Files: I Still Love L.A. (1994)
2.The Rockford Files: A Blessing In Disguise (1995)
3.The Rockford Files: If The Frame Fits... (1996)
4.The Rockford Files: Godfather Knows Best (1996)
5.「ロックフォードの事件メモ/帰ってきた名探偵」
The Rockford Files: Friends And Foul Play (1996)
6.「ロックフォードの事件メモ/運命の再会」
The Rockford Files: Crime And Punishment (1996)
7.The Rockford Files: Murder And Misdemeanors (1997)
8.「ロックフォードの事件メモ/間違えられた男」
The Rockford Files: If It Bleeds... It Leads (1999)
CAST:
ジム・ロックフォード(ジェームズ・ガーナー):名古屋章
ジョセフ・ロックフォード(ノア・ベーリー):槐柳二
ベス・ダベンポート(グレッチェン・コーベット):芝田清子
イブリン"エンジェル"マーチン(スチュアート・マーゴリン):寺島幹夫
デニス・ベッカー刑事(ジョー・サントス):→内海賢二
ダグ・チャップマン警部補(ジェームズ・ルイジ):仁内達之
ペギー・ベッカー(パット・フィンレー):矢野陽子
ジョン・クーパー(ボー・ホプキンス)
BOOK情報:
"This Is Jim Rockford...": The Rockford Files (Paperback)
Thirty Years of The Rockford Files : An Inside Look at America's Greatest Detective Series (Paperback)
DVD&ビデオ情報:
「ロックフォードの事件メモ 完全版(TV傑作選)」
[仮面の殺意 前篇/後篇](廃版)
[死体が罪を犯す時/愛と殺しの終章](廃版)
[幻の栄光を夢見た男/さよならの前に殺しを!](廃版)
(日本語吹替版VHS)
The Rockford Files - Season One(アメリカ盤DVD)
私が最高に面白かった物語は、エンジェルがマフィアから追われて精神病院に隠れたものでした。ジムが病院の先生に、もう治ったようですと言ったのですが、いえいえ 彼の病気は治っていません。まだ宜しくお願いしますと言ったところでした。