2005年07月31日

番組ガイド:「追跡者」「追跡者ハリー・オー」

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「追跡者」 Harry-O は、1974年からABCで2シーズン放映され、日本では1975年にテレビ朝日から放映された60分の探偵アクションドラマである。一部ローカル局で「追跡者ハリー・オー」の題名で先行放映された噂もある。当初、この番組はテリー・サバラスの主演で計画されていたが、彼がTVムービー「マーカス・ネルソン殺人事件」The Marcus-Nelson Murders の撮影に入ってしまい、作品の好評からTVシリーズ、つまり「刑事コジャック」がスタートすることになってしまいデビッド・ジャンセンに話がまわってきた経緯がある。犯人から銃撃を受け、背中の弾丸が取り出せないまま退職し、年金と探偵業で細々と生活している私立探偵という設定はサバラスよりはジャンセンに向いていると思う。1973年に制作されたパイロットフィルム「Such Dust As Dreams Are Made On」のモニター調査ではハリー・オーウェルが陰鬱すぎるという感想が多かった。主人公が暗くてもデビッド・ジャンセンに対しては概ね好感であり、制作のワーナーブラザースTVでは再度パイロット版の制作に入る。残念ながらマーチン・シーン,シェリル・ラッド,マーゴット・キッダー,サル・ミネオらが出演したこのフィルムは日本では放映されていない。1974年にクル・ギャラガー,ザルマン・キング,ジョディ・フォスター(子役時代)らが出演して「Smile Jenny, You're Dead」が制作された。前回よりキャラクターの作りこみが行われ、ネットワーク関係者の試写でも好評であり、ABCはTVシリーズ化にGOサインを出した。この「Smile Jenny, You're Dead」が事実上のパイロット版TVムービーになり、日本では「追跡者」の題名でTV放映されている。

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ハリー・オーウェルはサンディエゴ署の刑事だった時に犯人に銃撃され、弾丸が背骨の近くで止まり取り出せない身体となってしまい、退職し海辺のコテージで暮らしている。リハビリを兼ねたジョギングや"ジ・アンサー号"を手作りで仕上げるのが彼の日課である。障害者年金を補足するために私立探偵をやっている。スタート当初は彼が痛みに苦しんでいる描写が煩雑にあり、愛車のおんぼろオースチンMGも常時修理工場という理由からバスやタクシーで移動し、徒歩で調査していたが、徐々にオースチンMGに乗るシーンが多くなってバスやタクシーには乗らなくなってしまう。番組の特徴としてモノローグ(独白)が上手に使われておりジャンセンの演技とのコンビネーションは非常に効果をあげていた。1974年9月12日に放映された第1話[水兵ダイヤ密輸事件 Gertrude]はMWA=アメリカミステリ作家クラブのエドガー賞(ベストテレビエピソード賞)にノミネート(受賞は「ポリスストーリー」の一編)されるほど良質のエピソードでした。サンディエゴ署のクインラン警部はハリーの親友で、困った時には頼りになる人物です。第1シーズン途中から「追跡者」の舞台はロサンゼルスへ移りますが、これはサンディエゴでの撮影費用が高くつくという制作上の理由でした。サンタモニカの海岸コテージに住むことになったハリーですが、隣りはスチュワーデスのお姉ちゃん(今はフライトアテンダント)が共同生活しており、ラッキーとばかり中年男の魅力をアピールしてガールフレンドにしちゃいます。ガールフレンドのスー役で「チャーリーズ・エンジェル」以前のファラ・フォーセットが出演しています。探偵業をやってる以上、必ずぶつかるのが警察関係者です。サンタモニカ署のトレンチ警部はいかにも役人的ですが、仕事に関してはなかなかのキレ者です。ハリーは皮肉を込めて"官僚"と呼び、トレンチは嫌味を込めて"オーウェル君"と呼びます。トレンチ警部のオフィスのコーヒーをめぐるミニエピソードとか、ハリーの実力を認め始めたトレンチ警部、彼の腹心ロバーツ部長刑事との間に友情が芽生えてきます。トレンチ警部自身が殺人容疑者にされるエピソードではハリー以外に頼れない状況に追い込まれます。このあたりはトレンチ警部役でエミー賞を受賞したアンソニー・ザーブの演技に注目です。クインラン警部が殺されるエピソードがあります。死ぬ寸前にハリーに宛てた郵便物には多額の現金が...親友の名誉を守るため、仇を討つためにハリーが捜査を始めます。「追跡者」ファンには余りにせつない物語ですが、クインラン警部に扮したヘンリー・ダローは"あのエピソードは私にとって最高の作品だった"と述べています。「追跡者」に4エピソードしか登場しないのに主役を食ってしまった人物がいます。アマチュアの犯罪学者で探偵志願者のレスター・ホッジスです。ハリーを探偵の師と崇め、ハリーの言動を真似し、ハリーと同じ服装をします。犯罪学の知識を駆使してやたらと事件に首を突っ込んできます。レスターは大富豪の息子でハリーが模造宝石を用意してこいと云ったのにバレるからと本物を用意する始末。レスターが尊敬する犯罪科学の権威フォン博士が登場するに至ってはスピンオフしちゃうのかと思ったくらいです。(残念ながらTVシリーズにはなってませんが)「追跡者」は「マニックス」や「ロックフォードの事件メモ」と同様にTVハードボイルドなのにとんでもないエピソードが2本あります。砂漠で孤立したハリーを含む数人の男女が次々に殺されていくクリスティ風のエピソードと、旧家で起こったクイーンばりの連続殺人劇のエピソードです。マジで作りたかったのか、お遊びで作ったのかわかりませんが面白い試みでした。出演者は「名探偵ダイヤモンド」「逃亡者」「秘密捜査官オハラ」に次いで4本目のTVシリーズになるデビッド・ジャンセン、「ハイ・シャパラル」のヘンリー・ダロー、映画『マトリックス・レボリューションズ』のアンソニー・ザーブ、「チャーリーズ・エンジェル」のファラ・フォーセットなど。声優はデビッド・ジャンセンを納谷悟郎氏がアテており、中年男の哀愁が滲み出る絶妙な演技でした。アンソニー・ザーブをアテた家弓家正氏も負けず劣らずの名演で久しぶりにプロの仕事を見た思いでした。クリエイターはハワード・ロドマン、制作責任者は「燃えよ!カンフー」のリチャード・ソープ、テーマ曲の他にセンチメンタルな心情を描く場面では映画『アイガー・サンクション』のテーマ曲が随所で流れました。(もちろん日本語版だけですが)海外ドラマのガイド本には「追跡者」についてあまり良い評価は書いてないが、設定・脚本・演出・役者・声優など優れた傑作探偵ドラマです。

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CAST:
ハリー・オーウェル(デビッド・ジャンセン):納谷悟朗
マニー・クインラン警部(ヘンリー・ダロー):中田浩二
K・C・トレンチ警部補(アンソニー・ザーブ):家弓家正
ドン・ロバーツ部長刑事(ポール・タリー)
スー・イングラム(ファラ・フォーセット)

書籍情報:
「私立探偵ハリーO」リー・ヘイズ(早川書房)絶版
「空白のシナリオ」リー・ヘイズ(早川書房)絶版
この記事へのコメント
アンソニー・ザーブを吹き替えた家弓家正が最高でした、オーーウェル君と言う声はまだ頭に残ってます。
 アンソニー・ザーブの若い頃はどんな感じだったんでしょう?
実は銀髪の狼の検索でこちらにきましたが、良く覚えてらっしゃるのに感心しております。
Posted by タバコ屋 at 2005年07月23日 03:37
ありがとうございます、いや本当に楽しみました。
 ところでクリスティ風のエピソードですが、井戸の中に落ちていた死体が、、、でしたね、覚えています。
 逃亡者ほどの人気作品ではないですが好きな作品でした。
 ありがとうございます。
Posted by タバコ屋 at 2005年07月31日 15:13
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